

# ベストプラクティス 17.3 – 各環境の設計においてコストが最適化されるような決定を行うためのビジネス要件を理解する
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システムまたは環境それぞれのコストをその特性に基づいて最適化しましょう。ビジネス要件に合わせて容量、パフォーマンス、信頼性、運用時間を検討します。エンドユーザーエクスペリエンスやビジネスプロセスにとってあまり重要でない環境やアプリケーションの場合は、ストレージやコンピューティング、運用時間を最小限に抑えてコストを削減します。構成を簡素にすることで削減できるコストと、テストまたはサポートのオペレーション要件の間でバランスを取ります。

 **提案 17.3.1 – 非本番稼働環境で本番稼働のデータの完全コピーが必要かを評価する** 

 非本番稼働環境に本番稼働データの完全コピーを用意することは、ストレージコストとコンピューティングコストに大きく影響します。テスト要件を満たしながら本番稼働データのコピーの数を最小限に抑えることを検討しましょう。非本番稼働環境のデータストレージコストは、次のような方法で抑えることができます。 
+ 開発およびテストシステムに使用するストレージ容量を少なくします。
+ データスライシングツールを使用して非本番稼働システムのテストデータから小さなサブセットを切り取ります。
+ 一時本番稼働コピーの使用を検討します。一時本番稼働コピーは、オンデマンドで作成して、ビジネスニーズやテストが終わった時点ですばやく廃棄またはアーカイブすることができます。
+ SAP HANA データベースに対して推奨されている 50% の作業メモリが、非本番稼働システムで必要かどうかを評価します。

 **提案 17.3.2 – 非本番稼働環境で常に本番稼働と同じパフォーマンスが必要かを評価する** 

 非本番稼働システムと一部のサポートシステムでは、ユーザーの数が比較的少ないか、処理するトランザクションボリュームが大幅に少ない、または応答時間の要件が柔軟であるのが普通です。以下の点を考慮してください。 
+ 小さめの EC2 インスタンスタイプを使用することで、ワークロードの SAP Application Performance Standard (SAPS) を小さくします。
+ 使用するアプリケーションサーバーの数を少なくします。
+  低コストの Amazon EBS ストレージタイプを使用します (例えば、 `io2` ではなく `gp3` )。 
+ 非本番稼働システムのボリュームとして、パフォーマンス特性が低めのものを選びます (例えば、10,000 IOPS ではなく 3,000 IOPS)。
+ クラウドの伸縮性が意味するのは、ロードテストやスケーリングテストなど、本番稼働と同等のパフォーマンスを必要とする非本番稼働テストリソースをスケールアップできることです。

 **提案 17.3.3 – 非本番稼働環境で本番稼働と同等の運用時間が必要かを評価する** 

テスト、トレーニング、およびサンドボックスシステムのような非本番稼働環境では、本番稼働環境より運用時間が短いことがあります。サポートチームのタイムゾーンと営業時間を考慮して、すべてのシステムが年中無休 24 時間体制であるべきかどうかを判断します。この情報を使って最低の料金モデルを選択します。

例えば、オンデマンド料金モデルで SAP トレーニングシステムを週 40 時間実行した場合 (最大 23% のアップタイム)、3 年間のリザーブドインスタンスまたは Savings Plan で常時 100% 実行した場合より安価です。

 **提案 17.3.4 – 非本番稼働環境で常に本番稼働と同等の信頼性が必要かを評価する** 

 個々のシステムの信頼性要件に合わせてコスト効率の最も高いアーキテクチャを選びましょう。[信頼性]: [ベストプラクティス 10.1 – ビジネス要件に合った SAP ワークロードの可用性目標について合意する ](best-practice-10-1.md) を参照してください。詳細なガイダンスは、 [信頼性の柱](https://docs.aws.amazon.com/wellarchitected/latest/reliability-pillar/welcome.html) - AWS Well-Architected フレームワークをご覧ください。 

テスト目的だけに本番稼働環境同様のアーキテクチャを用意する場合は、本番稼働をミラーリングしなければならない頻度について考えます。信頼性またはパフォーマンステストのために非本番稼働環境でデータベースの高可用性を実現する必要があるなら、テスト期間外にセカンダリインスタンスをシャットダウンまたはスケールダウンすればコストが削減できます。

オートメーションの使用や、本番稼働同様のパフォーマンスを常に必要とするわけではない環境にオンデマンド料金を適用することで、コスト効率を高めることができます。

 **提案 17.3.5 – サポートおよびレガシーシステムなどコア以外のシステムのビジネス要件を評価する** 

参照目的だけにある環境、またはビジネス上それほど重要な役割を持たない環境については、アップタイム、パフォーマンス、信頼性の要件をコアの本番稼働システムと比較して評価します。

例えばレガシーの ERP システムなら、以前のアプリケーションからの変換やビジネス再編を理由とした参照目的で維持する場合があるでしょう。このようなシステムでは、必要なときだけ EC2 インスタンスを実行し、Amazon EBS ストレージの料金だけ支払うようにしてコストを最適化できます。コスト効率がさらに高いのは、バックアップを介してシステムを Amazon S3 と Amazon S3 Glacier にアーカイブするというソリューションです。